戦後から71年が経過し、沖縄戦を伝えるべき語り部は「当事者」ではなく、「次世代(次の担い手)へと転換せざるを得ない状況にあります。しかし、東京や他の地方で生活している中では沖縄戦に触れる機会もなく、悲惨で露骨に辛い出来事にわざわざ興味を持つ気にはなりません。他方でシリアでは内戦による難民が大量発生し、ヨーロッパを揺るがしています。ロシアとアメリカの新しい冷戦が始まったと言われ、北朝鮮や中国が態度を硬化し続ければ、日本も対抗せざるをえないでしょう。そんな中、昔の教訓を生かすことなく争いに身を投じることが何を生むのでしょうか。沖縄戦の事実をありのままに見つめ、教訓とすることこそが、世界情勢や人間を見つめる考察を深める一歩になります。沖縄の過去という抜け落ちたパズルをはめ直すことが未来を築く基礎のひとつになるのです。東京の中学・高校生に「知らない」で済ますことは出来ない、第二次世界大戦の沖縄の人間が生きた記録。まずは、「知る」きっかけを提供する。そして、参加者が深く、沖縄戦を考察し、私たちが沖縄戦の記憶を未来につなぐ方法を考える。「ディスカッション×映画×沖縄のカルチャー」の3つを通して、沖縄戦の記憶をテーマに平和の意味を改めて再考する、イベント型平和学習の実践の場が「小さき平和へのFLAG!」なのです。

 


《写真は6月19日に東京国際フォーラムで開催された小さき平和へのFLAG! Vol.1の会場内の様子です》

 

 

 イベント型平和学習とは、戦争を経験していない次世代にイベントという「非日常空間」を利用し、戦争の記憶の継承を行うことを目的とするイベントのことです。しかし、戦争というフレーズは次世代の興味をそそる言葉ではありません。敷居の高さを感じてしまい、イベントに参加しようとする意識を持たせることは難しいです。そこでイベント型平和学習のコンセプトは「ワクワクする平和学習」と題します。勿論、戦争の記憶の軽視や不謹慎なイベントを目指すのではありません。従来型の歴史の一方通行の平和教育ではなく、「考えさせる」平和学習を展開するのです。過去の事実を現実として受けとめるもそのままでは終わらせるものではありません。戦争の記憶を活かして自分達は未来で何が出来るのかを参加者ひとりひとりが導き出す。そのためにもイベントという特性を活かし、参加者にメディアミックスを多用した「考えさせるきっかけ」を提供します。

 


 

 

 小さき平和へのFLAG!のコンセプトは「ワクワクする平和学習」と「ジブンゴトになる平和学習」です。前提として、悲しくなるためだけにイベントに向かう中高生はいません。そのため従来型の詰込み型の歴史教育を柱とした平和学習を東京で展開することは難しいのです。過去の記憶を学び、戦争の記憶を現実として受けとめるも決して重くさせる必要はないのではないでしょうか。過去の記憶をヒントに平和のありがたさや自分たちが未来で何が出来るかを考えることは「ワクワクする」ことにつながるはずだと信じています。ただ、先人たちの苦しみを21世紀を生きる中高生が生半可に扱うことは絶対に許されません。戦争の現実を次世代が心から受けとめるには「ジブンゴト」という観点が必要です。戦争の記憶は現代の中高生にとって他人事であります。もしも戦争の記憶をジブンゴトとして捉えることが出来れば、本気で記憶について考えることにつながるのではないでしょうか。そこで、このワクワクする平和学習とジブンゴトになる平和学習を実現するために3つのコンテンツを提供します。

 

【株式会社がちゆん】

《ディスカッションプログラム》

【仲村 颯悟 監督】

《映画プログラム:ゆしぐとぅ》

【上間綾乃 歌手】

《カルチャープログラム:島唄》


 

 

 小さき平和へのFLAG!は映画「ゆしぐとぅ」を基軸にひとつのストーリーとして構成されています。戦争を扱うテーマでも物語を通することで主人公に感情移入することが出来、背景の景色や音楽などの圧倒的情報量とともに主人公と同じ時間を歩むことが出来ます。主人公は東京の女子高生。参加者と同じように戦争とは無縁の生活を送り続けている学生が戦争の記憶を受けとめ、未来で自分が何が出来るかを考える。戦争の記憶に初めて触れることで、改めて命の大切さに気づくというストーリーになっています。そして、イベント会場ではこの映画は随所で映像が中断され、主人公の気持ちを想像する形でディスカッションが行われます。イベントは10人でひとつの班を作り、主人公の発言で気になったことからディスカッションを展開していきます。戦争の記憶の発信者と受け手がお互いを理解するためにディスカッションが何よりも有効なのです。生身の人間が向き合い、自らの言葉でお互いの溝を埋めていく。真摯に歴史に向き合うことで思い込みや歪曲が修正されていくのです。ディスカッションのリーダーは「がちゆん」の大学生が担当し、沖縄での実体験も織り交ぜながら討論を進めます。また最後にカルチャーが重要なキーワードになります。対象となる被災地との時間と空間を埋めるためにその地を代表する音楽や食を五感で感じることにより、被災地に親近感を持たせるのです。またカルチャーは参加者の頭の記憶に非常に残りやすいという特徴も持ちます。戦争の記憶を数時間で学び終えることは到底不可能であり、ふとした瞬間に記憶を思い出し、体験者の証言を自分から調べることにつなげることが出来るのではないかと考えました。

 

 中高生が戦争の事実を受け取る思考の入り方は多様であり、若者が心のどこかで引っかかるように様々なコンテンツを展開しなければなりません。「ワクワクする平和学習」と「ジブンゴトになる平和学習」の両立こそが戦争の記憶の継承の近道であり、イベントという非日常空間を利用することでそれを確実なものにすることが出来るのです。イベントは楽しいイベントにもすることが出来る一方、本気で戦争の記憶と向き合わせることも出来ます。戦争体験者への配慮はイベントという空間を利用しなければ困難なものであります。お互い面識のない中高生がひとつの場所に集い、等身大で戦争の記憶を見つめることが出来、過去の記憶を通して、未来を考えることにつながるのです。

 


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《小さき平和へのFLAG!VOL.1 をコーディネートして頂いた3つのコンテンツ》

 

■株式会社がちゆんとは?

 私たちは、沖縄という非日常な空間とディスカッションを活用した対話の場を提供する企業です。沖縄の言葉で「ゆんたく」は「対話」を指します。がちゆんの社名の由来は、「ガチ(本気)のゆんたく」。本気のゆんたくは、生徒ひとりひとりの主体性を引き出し、内面の変化を引き起こします。私たちは、現役の大学生である私たち自身の原体験から、「がちゆん」に一生ものの価値を見出しています。本気の対話から生まれる喜びや魂の煌めきを、一生に一度の修学旅行で沖縄を訪れる全国の中学生・高校生と共有したい。そんな想いで会社を起こし、沖縄修学旅行だからこそ、学習効果が高まるプログラムをご提供しています。

 



 

■映画:ゆしぐとぅとは?

 

2016623日、沖縄・慰霊の日。
WEB
にて公開された短編映画「ゆしぐとぅ」は、「人魚に会える日。」の仲村颯悟監督ほかスタッフが集結し、同月19日に東京の高校生が主催した「小さき平和へのFLAG!」のイベント内にて上映する映像として製作されました。“沖縄戦を他人事からジブンゴトに”というイベントのテーマに沿った短編「ゆしぐとぅ」は、スタッフ・キャストはもちろん、主題歌は沖縄の現役芸大生ユニットいーどぅしが、同じく沖縄出身アーティストCojacoの代表曲「おばぁの涙」をカバー。挿入歌には沖縄出身ラッパーRude-α feat. R’kumaが楽曲提供するなど、『沖縄の戦争を知らない世代』か発信したい思いが詰まった作品となっております。

 




 

■歌手:上間綾乃さん プロフィール

 

 

 

沖縄県生まれ。 

 

7歳から唄三線を習い始め、19歳で琉球國民謡協会の教師免許を取得するほどの腕前を持つ。

 

沖縄民謡で培った声をベースに、聴く者の心を揺さぶってやまない深い表現力の圧倒的なステージで、東京、大阪をはじめとする全国各地のライブも成功をおさめる中、

 

 

2012年アルバム『唄者』で待望のメジャーデビュー。翌136月シングル「ソランジュ」を発売、7FUJI ROCK FESTIVAL13に初出場も音楽ファンの注目を集め、

 

9月にセカンドアルバム『ニライカナイ』をリリース。

 

翌年147月にサードアルバム『はじめての海』をリリースし、8月には情熱大陸SPECIAL LIVE SUMMER TIME BONANZA'14へ参加。

 

15年には、戦後70年という節目の年にCD「さとうきび畑~ウチナーグチ~」(緑の惑星プロジェクトより発売)に参加。

 

また、ブルーノート・ビルボード系列のライブハウスでの東名阪ツアーも成功を収める。

 

 

個性溢れる表現力で、今後ますますの活躍が期待されている。

 



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