小さき平和へのFLAG!のイベント主催者をご紹介致します。6月19日に開催された小さき平和へのFLAG!Vol.1では「東京の高校生:石井純 × 株式会社がちゆん:国仲瞬社長 × 映画監督:仲村颯悟監督」の3名のコラボレーションによってイベントは実現されました。



《石井 純 ホームページ》

《JXXI ホームページ》

組織委員会委員長

石井 純

東京大学附属高校 / 高校3年

JXXI(ジェイエックスクロスアイ)

 

■東京の次世代にとって、沖縄戦が他人事になる理由。それは、沖縄戦の敷居が高いことが理由に挙げられる。戦争を考えることは悲しみと直結する。だから、目を背けようとする意識は当然のことだ。しかし、悲しいという理由だけで目を背けてしまうということは沖縄戦の記憶を学ばないということである。記憶を学ばないということは将来、次世代が戦争を引き起こしてしまう引き金となってしまうのではないか。私は、過去の記憶は将来に物語を残していると考えている。敷居を下げるということは決して、沖縄戦を笑い飛ばすようなことではない。沖縄戦という過去の事実を現実として、受け止める。そして、私達は将来、沖縄戦の記憶をどのように活かしていくかを考えさせるのだ。戦争の記憶を「悲しい」という言葉だけで終わらせてはならない。戦争の記憶をヒントに未来を考えさせることを柱にした平和教育の機会を東京の次世代に提供するべきだ。沖縄戦をヒントに未来を考えさせることは沖縄戦の記憶の継承の最短の経路ではないか。


プロフィール:1998年東京都生まれ。卒業研究「沖縄戦の記憶を次世代につなぐ-イベント型平和学習の実践から考察する」の執筆の過程からイベント型平和学習「小さき平和へのFLAG!」を6月19日に東京国際フォーラムで開催した。また文化祭プロデュースや全国体育研究同志会全国大会で講演を行うなど活動の幅を広げている。

 



《株式会社がちゆんホームページ》

組織委員会最高顧問

国仲 瞬

琉球大学教育学部生

株式会社がちゆん 代表取締役社長

 

■戦後70年が経過し、沖縄県内でもあっても戦争の記憶の風化が叫ばれる中でのこの取り組みは、僕たちウチナーンチュにとっても改めて戦争の過去について真剣に考えるきっかけになるのではないかとの大きな期待があります。そしてその取り組みに携われているのが本当に嬉しいですし、沖縄のためにも絶対に成功させないと、という強い責任も同時に持ちあわせています。
沖縄戦へのタニンゴトをジブンゴトにしたいという石井くんの情熱が一人でも多くの東京の高校生の心に響くように、そして沖縄戦のことが後世にまで紡がれていくひとつの道標となるように、沖縄からたくさんウムイ(想い)を込めて、この場を作っていきたいと思っています。


 

プロフィール:「言動力を沖縄動かす原動力にする。沖縄が動けば必ず世界に波及する。」という想いの下、20135月に琉球大学の学生団体としてディスカッションの活動を開始。そこからわずか348日で法人化し、代表取締役に就任。「平和共育」などの新たな概念を生み出し、教育実習などの経験も活かしながら主に教育事業を展開する。ユニークな経営手法にも注目が集まる沖縄発若手経営者。



《映画「ゆしぐとぅ」ホームページ》

組織委員会顧問

仲村 颯悟

慶應義塾大学環境情報学部生

映画監督 / RYU-GOATS

 

■71年前。

 

沖縄という小さな島で何が起こったのか。

 

涙ながらに話したオバァの記憶ー。

 

怒りの混じった震える声で話したオジィの記憶ー。

 

今もまだ残る深い深い悲しみの記憶を、

 

知ることで繋がる未来があると思うのです。


 

プロフィール:1996年沖縄県生まれ。小学生の頃から映像製作を行う。長編デビュー作は13歳の時に監督した「やぎの冒険」(2010年)。現在、慶応義塾大学に在学中。最新作「人魚に会える日。」は、すでに14歳の頃に書き上げていたオリジナル脚本を元に、5年ぶりの長編2作目となる。




《HY ホームページ》

イベントスペシャルサポーター

HY

歌手/音楽グループ

 

学生たちが色々な角度から見つめていく「平和」。

 

沖縄戦をもっと知ることでみんなで話し合うことで

 

あなたも証言者になれるとおもう。

 

沖縄戦を次世代に受け継ぐ大切なイベントだと思います。

 

僕達も音楽を通して発信、繋げていきます。

 

HYドラム/名嘉俊


プロフィール:2000年結成。沖縄県うるま市出身。グループ名の「HY」は、彼らの地元・東屋慶名(Higashi Yakena) の地名が由来。現在も沖縄に在住し、インディーズにて全国・世界へと音楽を発信している。

2001
1stアルバム『Departure』をリリース。
2003
2ndアルバム『Street Story』をリリースすると、インディーズとしては史上初のオリコンチャート初登場&4週連続1位という偉業を達成し、ミリオンセラーに。
以来、8枚のアルバムをリリースし、累計で500万枚に到達している。
2008
年、映画×ドラマ『赤い糸』の主題歌に「366日」(5thアルバム『HeartY』収録)が抜擢され、配信で450万ダウンロードを誇る大ヒットに。



 

《株式会社がちゆん代表取締役社長 国仲 瞬 メッセージ》

 

 

 

小さき平和へのFLAG!を終えて ― 葛藤、戦争の記憶を若い世代がつなぐということ

 

 

 

沖縄戦を次世代につなぐ取り組みへの挑戦として「小さき平和へのFLAG!」を東京にて無事に開催できたことに安堵すると同時に、東京生まれの高校生である石井純くんの沖縄への熱い想いがしっかりとカタチになったことに、沖縄を愛する一人として、彼の一応援者として、そして共にこの企画を作り上げた仲間として、とても感激しております。

 

71 年前に私の故郷・沖縄で起こった悲惨な過去について、遠く離れた地で生まれ育った「戦争を知らない世代」と呼ばれる若者同士で共に沖縄へ思いを馳せる時間を作れたことは、今振り返ってみても本当に大切な大切な時間であったように思えます。

 

今回は沖縄から私を含め5 名の大学生が上京し、主に首都圏在住の中高生たちと沖縄戦について議論を交わしました。沖縄戦の体験者がその場にいない状況の中、同世代である私たちが捉える沖縄戦の実相について真剣に耳を傾けてくれ、真剣な眼差しで私たちに問いを投げかけてくれました。その真っ直ぐな問いは、改めて「沖縄戦を伝えようとする者」としての責任の重さについて考えさせ、「沖縄戦を伝えること」の難しさを眼前に提示してきます。私たちは「これで良いのだろうか…」と常にその葛藤と向き合いながら、常に自分を疑いながら、常に苦しみながら71 年前の過去と対峙せざるを得ません。 私たちはその実相を本当の意味では知ることができないから。

 

それでも足を止めるべきではないことを示してくれたのが今回のイベントでした。参加してくれた中高生たちは、「沖縄戦を正確に伝える伝道師」としての私たちではなく、今の時代に共に生きる者として「沖縄で生まれ育ったあなた」の意見を聞かせてほしいというスタンスで臨んでくれたのではないかと思っています。だからこそ普段触れることのない沖縄戦についての私たちなりの視点から生まれる意見に真剣に向き合ってくれたし、自らの考えも臆することなく伝えてきてくれたのだと思います。同世代である私たちに対してだったからこそ発してくれたメッセージがあるのではないかと信じたいのです。

 

私たちは沖縄戦体験者の方々や、体験談を語り継ごうと活動されている方々の否定の上に「同世代だからこそできることがある」と思っているわけでは決してありません。私たちだからこそ実現できる場があることは、逆に私たちだけでは実現できない場があることも同時に表します。ディスカッションの中で「つなぐということは、下の世代に伝えていくことと同時に、私たちも彼らから何かを受け取り、そして体験者の方々を含めた上の世代へ伝えることではじめて実現する。そしてそのためには、沖縄戦の体験者の方々からその実相や後世への想いを正確に受け取ることが必要ではないか」と発言した高校生がいました。この言葉に、心を揺さぶられるのは私だけではないはずです。

 

今回のイベントを通して沖縄戦について一番考えさせられたのは、もしかすると沖縄生まれ沖縄育ちで、沖縄戦で戦死した曽祖父を持つ私だったのかもしれません。沖縄に直接ゆかりの無い中高生たちを招いた立場として無責任な発言なのかもしれませんが、沖縄戦を語り継ぐことへの新たな視点を多くもらいました。私も中高生の皆さんにとって、沖縄戦について少しでも考えるきっかけとなる存在となれたでしょうか。なれていたとすればこれほど嬉しいことはありませんし、これからもそのような存在であり続けたいと心から思っています。

 

そのような双方向性のある対話を以て、沖縄戦と向き合いたいという想いは昔から変わっていません。それはおそらく、今回の場を作り上げた中高生、沖縄の大学生たちの共通の想いでもあったように思います。東京でもその想いを体現する場を作れたことは、本当に意義のあることでした。まだまだ不完全ではありますが、沖縄戦をつなぐという責任の重いテーマに対しての一つの指針となれたのではないかと信じたいですし、それは来てくださった中高生の皆さんの一人ひとりの意見や想いで形作られたのだと思います。主体的に沖縄戦について考える時間を作ってくれたこと、そこで意見を発してくれたことに心から感謝しています。僕の故郷について真剣に考えてくれたからこそ、今度は皆さんの地域の過去や今についても考えたいと、素直に思える自分がいます。「沖縄戦」というテーマでつながったこの縁が、また違う何かを「つなぐ」ことに結びつくのかもしれません。

 

そして最後になりますが、本イベントにご尽力いただいた多くの方へ御礼の言葉を述べさせていただきたいと思います。私のサポートも至らぬ点が多々あり、ご迷惑をおかけすることがあったかと思いますが、様々な形でのご支援を本当にありがとうございました。それだけ本イベントの主旨への共感が高かったのだと受け止めております。このような取り組みを今回だけで終わりにせず、継続的に実施できるようにしたいと思っております。平和な世界の実現へ向けて、これからも足元の小さな行動ひとつから起こし続けていけるよう、その先頭で旗を振り続けていけるよう、私たちも沖縄での取り組みを続けてまいります。

 

 

 

P.S. 石井純くん、一人では抱えきれないくらいの重圧を抱えながらも、このイベントを最後までやりきったことは素晴らしいことだし、こんなにも多くの人々が共感してくださったのは君の熱い想いに対しての期待や応援だと思います。僕も巻き込まれた一人として心から尊敬しています。巻き込んでくれて本当にありがとう。できればこれからも一緒に取り組みを続けていきたいですね。距離は離れていますが、これからもお互い頑張りましょう。